日本には、各県ごとに異なった酢みかんがあるといっていいほど、酢みかんの種類が多くみられます。北海道を除く全県に見られるユズやハナユなどの外来種をはじめ、スダチ(徳島)、直七(高知)、カボス(大分)、ヘベス(宮崎)、キズ(福岡)、ジャボン(広島)、ジャバラ(和歌山)、ユズキチ(静岡)、フクレミカン(茨城)などは、日本で生まれたもので、その他50余種がみられます。酢みかんの種類毎に風味が異なりますので、それだけ、日本の食は地方色豊かになっています。 日本に酢みかんが多く生まれた理由について、考察してみました。


まず、日本列島にきた私たちが、生魚や焼き魚に食酢をかける風習を持っていて、酢みかんを必要としていたことがあげられるでしょう。酢酸など無機酸の食酢を合成する技術の無かった昔は、食酢の全てを、有機酸のクエン酸をもつ酢みかんに、頼った生活をしてきました。歴史的には、遣唐使以前に朝鮮半島伝いに、ユズが導入されました。以来、室町、江戸時代にユズとの雑種と思われる種類が日本で多数生まれ、地域的に利用、温存されてきたのではないかと思われます。酢みかんの原木を訪ねますと、100年を越えた多くが裏庭の隅に生育しています。おそらく偶然に何かの種から生まれてきたのでしょう(偶発実生といいます)。

それでは、酢みかんの種を蒔くと、雑種がたやすく生まれるものなのでしょうか。明治の頃に、ウンシュウミカンの台木にユズが使われていたことがありますが、畑に大量のユズの種を蒔き、接木台木の苗を育てていました。しかし、雑種が大量に生まれた記録はありませんでした。今の言葉でいうと、ユズの種からはユズのクローンしか出てこなかったのでした。その理由は、ユズは多胚性の種子形成をおこなう種類で、播種すると無性胚だけが実生になるためだと思われます。カンキツの多胚種子からは、たやすく雑種胚が実生にならないと考えられています。試験例を述べますと、1種子に20個くらいの胚を持つウンシュウミカンの種を、1276粒蒔いて(胚数29338個)、わずかに25本の実生が雑種でした。多胚種子の場合、カンキツの種を蒔いても、雑種が生まれるチャンスはとても低いものだと考えられています。


そこで、カンキツの多胚種子のどの位置に、雑種胚があるか鑑定してみました。自然界では、1種子の多胚の中では、大きい胚だけが実生として発芽できます。1種子の胚をバラバラにして、1個づつ胚毎のDNA鑑定を行ない、雑種胚を特定しました。DNAの鑑定は、PCR法で検討しました。その結果、スダチやカボスなどの酢みかんでは、多胚の第1番目、あるいは第2番目など大きい胚が、雑種胚であることがわかりました。一方、甘いポンカンやシキキツなどの種子では、もっとも小さい胚が雑種胚であることが明らかになりました。このことは、酢みかんの雑種が偶発実生として、より誕生し易い多胚性を持っていることを意味しています。酢みかんでは、種から雑種がより偶発実生として得られやすかったために、各県毎に各種の酢みかんが選ばれ、その結果として、種類が多くなったと推定されます。
世界では、レモンとライムが酢みかんのほとんどで、日本の酢みかんが食酢として取り上げられたことはありません。徳島県のスダチのように、地域で努力して生産振興をはからない限り、酢みかんの多くはこれからも大きく取り上げられることはないでしょう。しかし、種の多様性は維持したいものです。


まず、日本列島にきた私たちが、生魚や焼き魚に食酢をかける風習を持っていて、酢みかんを必要としていたことがあげられるでしょう。酢酸など無機酸の食酢を合成する技術の無かった昔は、食酢の全てを、有機酸のクエン酸をもつ酢みかんに、頼った生活をしてきました。歴史的には、遣唐使以前に朝鮮半島伝いに、ユズが導入されました。以来、室町、江戸時代にユズとの雑種と思われる種類が日本で多数生まれ、地域的に利用、温存されてきたのではないかと思われます。酢みかんの原木を訪ねますと、100年を越えた多くが裏庭の隅に生育しています。おそらく偶然に何かの種から生まれてきたのでしょう(偶発実生といいます)。

それでは、酢みかんの種を蒔くと、雑種がたやすく生まれるものなのでしょうか。明治の頃に、ウンシュウミカンの台木にユズが使われていたことがありますが、畑に大量のユズの種を蒔き、接木台木の苗を育てていました。しかし、雑種が大量に生まれた記録はありませんでした。今の言葉でいうと、ユズの種からはユズのクローンしか出てこなかったのでした。その理由は、ユズは多胚性の種子形成をおこなう種類で、播種すると無性胚だけが実生になるためだと思われます。カンキツの多胚種子からは、たやすく雑種胚が実生にならないと考えられています。試験例を述べますと、1種子に20個くらいの胚を持つウンシュウミカンの種を、1276粒蒔いて(胚数29338個)、わずかに25本の実生が雑種でした。多胚種子の場合、カンキツの種を蒔いても、雑種が生まれるチャンスはとても低いものだと考えられています。


そこで、カンキツの多胚種子のどの位置に、雑種胚があるか鑑定してみました。自然界では、1種子の多胚の中では、大きい胚だけが実生として発芽できます。1種子の胚をバラバラにして、1個づつ胚毎のDNA鑑定を行ない、雑種胚を特定しました。DNAの鑑定は、PCR法で検討しました。その結果、スダチやカボスなどの酢みかんでは、多胚の第1番目、あるいは第2番目など大きい胚が、雑種胚であることがわかりました。一方、甘いポンカンやシキキツなどの種子では、もっとも小さい胚が雑種胚であることが明らかになりました。このことは、酢みかんの雑種が偶発実生として、より誕生し易い多胚性を持っていることを意味しています。酢みかんでは、種から雑種がより偶発実生として得られやすかったために、各県毎に各種の酢みかんが選ばれ、その結果として、種類が多くなったと推定されます。
世界では、レモンとライムが酢みかんのほとんどで、日本の酢みかんが食酢として取り上げられたことはありません。徳島県のスダチのように、地域で努力して生産振興をはからない限り、酢みかんの多くはこれからも大きく取り上げられることはないでしょう。しかし、種の多様性は維持したいものです。
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この記事へのコメント
みかんのつぶつぶについて書いたので、どうかコメントをお寄せください。よろしくおねがいいたします。
多胚種というものがあるのは初めて知りました。面白いですね。別府に行ったときにかぼすをつかった団子汁といううどんのようなものを食べておいしかった記憶があります。
福島はゆずの北限として知られていましたが、昨今の温暖化でかわったかも知れませんね。
それと、みかんというか、柑橘類は種をまいてから実がなるのに何年くらいかかるのですか?既に過去に書かれていたとしたらすみません。
福島はゆずの北限として知られていましたが、昨今の温暖化でかわったかも知れませんね。
それと、みかんというか、柑橘類は種をまいてから実がなるのに何年くらいかかるのですか?既に過去に書かれていたとしたらすみません。
Sammyさんの柑橘は何年たったら実がなるの?、について。
モモ栗三年、カキ八年、ユズの大馬鹿三十年という言葉を聞いたことがありますか。果樹は確かにいつになったら実が成り始めるのか、気になります。技術的には、高接ぎ法といって大きな木の上に、ほしい品種の枝を接木すると、3年目に花が咲き、実がなります。種を蒔いて、花が咲くのを待つことは、カラタチ以外の柑橘では年数がかかってしまうので、結実は期待できません。接木してある苗木屋さんの苗を植えると、3−4年目から実が成り始めます。参考になりますかどうか、−−−
モモ栗三年、カキ八年、ユズの大馬鹿三十年という言葉を聞いたことがありますか。果樹は確かにいつになったら実が成り始めるのか、気になります。技術的には、高接ぎ法といって大きな木の上に、ほしい品種の枝を接木すると、3年目に花が咲き、実がなります。種を蒔いて、花が咲くのを待つことは、カラタチ以外の柑橘では年数がかかってしまうので、結実は期待できません。接木してある苗木屋さんの苗を植えると、3−4年目から実が成り始めます。参考になりますかどうか、−−−
2010/11/26(金) 14:20:01 | URL | Citologist #-[ 編集]
みかんの種を植えて芽が出たものがあるので、きになったのです。確か温州みかんだったと思いますが、、。
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