キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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酢みかんのカボスの小話
kabosuカボスとユズ果実

 暮れに、東京産のカボスが、めずらしく手に入りました。カボスはユズについで2番目に多く栽培されている香酸カンキツですが、東京のマーケットではあまりお目にかかれません。庭先栽培のカボスだったので、見た目はよくありませんでしたが、久しぶりに生魚にかけて、独特の風味を賞味しました。

kabosuカボスの割合

 カボスは大分県臼杵市で、元禄時代(1687-1703)に、偶発実生で生まれたとされています。医師の宗玄が、薬用に何らかの種子を京都から持ち帰り、播種して生まれたとの言い伝えになっています。長い間、地方種に過ぎなかったカボスが、にわかに脚光を浴びるようになったのは、1980年代(昭和60年)の大分県がすすめた「一村一品運動」の村おこしの一品に、取り上げられてからだったように思われます。これを契機に栽培面積も増え、現在、510ヘクタールに拡大しております。大分県では、カンキツ栽培面積の3割程度をカボスに当てていて、誕生地の臼杵市、内陸の竹田盆地などにまとまった園地が見受けられます。

kabosu生産量推移

 強烈なユズの香りと異なり、カボスの香りはマイルドで、果汁は上品な風味を持っています。収穫は果汁と酸味の多い8月中旬ごろから始まり、緑果の状態で出荷されます。また、11月頃の成熟果はユズが淡黄色に色づくのに対して、橙黄色に着色し、果汁色も暖い黄色になります。今回は、成熟期に達した着色カボスをいただきました。果重は100-150g程度で、ユズよりやや小ぶりですが、果汁量は大目です。ユズの仲間らしく果皮につやは無く、油胞はすべてしずみ、極めてやわらかい果肉ベシクルをしています。

kabosu油胞
kabosuベシクル
kabosu種子

 カボスの果汁は、刺身、焼魚、から揚げ、湯豆腐などと相性がよく、まろやかな酸味と上品な香りを楽しめます。また、ユズ、スダチ、キズなど他の香酸カンキツと同様に、優れた医療効果が認められていて、健康食品としての高い人気を持っています。果皮も利用しますので、無農薬栽培が消費者にとって、とても望ましいことです。

kabosu日田市のカボス園

 カボスは長い間、大分県の内陸部で栽培されてきた経緯からおして、かなりの耐寒性をもつものと思われます。東京は、温暖化と都市化のために、冬場でもカンキツ栽培に致命的な影響を齎すマイナス3℃以下に、ここ30年来遭遇していませんので、庭木としてのカボス栽培が可能になったのだろうと思われます。酢ミカンでは黄色いユズ、ハナユしかなかった東京の庭木に、橙色に成熟するカボスが加わることで、景観として、暖かさが増します。とげのほとんど無いのも、庭木として優れていると思われます。
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コメント
この記事へのコメント
はじめまして。タイのコブミカンの果汁が好きな物です。代用するとしたら日本の柑橘系では、何が近いのでしょうか?よろしくお願いします。
2012/01/24(火) 19:23:34 | URL | ぷんぷい #SwlekFzs[ 編集]
Re: タイトルなし
こぶみかんのジュースに近いものは、残念ながら日本にありません。
日本では、まれにこぶみかんが輸入されていますので、この機会を捉えるしかないでしょう。
こぶみかんに近い品種は、純粋の熱帯かんきつで、マクロプテラがありますが、
日本では手に入りにくいでしょうね。
2012/02/01(水) 13:15:21 | URL | キトロロ #-[ 編集]
教えて下さってありがとうございます。やはりないですか。こぶみかんは苗としては売っているようなので、日本では園芸の楽しみとして植えてみようかと思います。これからも先生のこの柑橘のブログ、楽しみに読ませていただきますね。
2012/02/01(水) 18:27:15 | URL | ぷんぷい #-[ 編集]
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2012/02/01(水) 18:40:29 | | #[ 編集]
マクロプテラについて
> マクロプテラという柑橘の名前を、私のブログ(タイのハーブを使ったお料理関係)で紹介したいと思います。その際、「キトロロギストX先生より教えていただいた」として先生のブログを紹介してもよいでしょうか?他に先生にふさわしい呼び名があれば教えて下さい。ブログは
> http://plaza.rakuten.co.jp/meepunpui
> です。よろしくお願いします。

 お尋ねのマクロプテラについて、やや詳しく説明します。
こぶみかんは、英語では、モーリシャスパペダといいますが、マクロプテラはメラニシアパペダと呼ばれます。同じパペダの仲間です。大洋州の島々に分布する、純熱帯性の原始的カンキツです。
 現地では、カブヤオといいますが、タイの沿岸部でもみられるようです。
こぶみかんより美しく、多汁で、極めて酸っぱいので飲用にしていません。以前は、現地で頭髪洗いや洗濯に使っていたようです。日本人の手で、利用価値が見つかるといいですね。
2012/02/05(日) 10:27:34 | URL | キトロロ #-[ 編集]
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2012/02/05(日) 12:00:37 | | #[ 編集]
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