キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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水晶文旦のベシクル細胞の原形質分離
plasusui袋水晶

 カンキツの果肉ベシクルでは、糖の高張液に接した場合、中央部の液胞の発達した細胞が、原形質分離をみせることを知りました。水晶文旦は極めて大きな液胞細胞を持っていますので、どのような原形質分離がみられるのか、観察しました。

plasusui早生水晶
plasusui-糖液反応

1)ベシクルの変化率
 砂糖水の濃度を変えた高張液(32%、29%、22%)と12%と水に1日間浸漬した後の、ベシクル重と糖度の変化を測定しました。ベシクル重は、浸漬後いづれも浸漬開始時より減少していましたが、濃度の高い方がより大きく減少しました。
 また、ベシクルの糖度は22%までは大きく変化しましたが、高い濃度では小さく変化しました。32%の高い糖度液に浸漬した場合は、2倍程度の糖の吸収をみせました。

plasusui比較吸収

2)変化率の比較
 水晶文旦のこれらの変化率を、早生温州の場合と比較しますと、明らかに糖度の増加250~350%と大きな変化率をみせた後者に比べて、前者は150~200%程度の変化率で、糖の吸収が少ないものでした。一方、糖度の変化に比べて、ベシクルの重さの変化は、小さく、また、中には丸みをもつものもみられました。

plasusui-30細胞
plasusui水細胞正

3)ベシクル細胞の細胞質像
 そこで、水晶文旦のベシクルの中央部の細胞群を、光学顕微鏡で比較観察しました。30%液の場合には、大方のベシクル細胞は、細胞質(原形質)を凝縮して、細胞壁から分離した原形質分離の状態でしたが、中には全く生のベシクル細胞と同じように、凝縮像のない細胞が多くみられました。みかんと同じように、巨大なベシクル細胞の水晶文旦でも、原形質分離ベシクル細胞と、分離のみられないベシクル細胞が、混在していました。

 このように、ベシクルにあっては、原形質分離をみせる細胞と、丸みをもった原形質分離をみせないベシクル細胞の混在が、カンキツ果肉細胞構成の特徴といえるようでした。果物の果肉では、カキのシブ細胞の柔細胞との混在や、キウイフルーツの澱粉細胞と柔細胞との混在の例のように、一様でない例が多くみられます。カンキツのベシクルの柔細胞群も、形は同じように見えても2様の生理的分化をしているものと思われました。
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