キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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ハッサクのベシクル細胞の原形質分離
plasuhassaスライス

 これまで、みかんやレモンなどの果肉ベシクルでは、ベシクルを高濃度の糖液に浸漬したときに、液胞の発達した細胞が、とくにベシクルの中央部で、原形質分離をみせることを知りました。八朔でも原形質分離がみられるのかどうか観察しました。

plasuhassa重さ
plasuhassa糖度

1)ベシクルの変化率
 砂糖水の濃度を変えた高張液(30%、20%)と11%と1%糖液に1日間浸漬した後の、ベシクル重と糖度の変化を長柄ベシクルについて測定しました。ベシクル重は、浸漬後いづれも浸漬開始時より減少していましたが、濃度の高い外液で重さがより大きく減少しました。また、ベシクルの糖度は外液の糖濃度に比例して直線的に大きく吸収しました。

plasuhassaベシ2本

2)変化率の比較
 重さ、糖度のこれらの1日後の変化率を、早生温州やレモンの場合と比較しますと、明らかに重さ、糖度の増加の変化率は、ハッサクで小さく、ハッサクのベシクルは、外液の吸収速度が遅いことがわかりました。八朔のベシクルは、外液の浸透圧に対して高い耐性をみせるといえました。

plasuhassa凝縮像

3)ベシクル細胞の細胞質像
 そこで、ベシクルの中央部の細胞群を、光学顕微鏡で比較観察しました。30%液の場合には、大方のベシクル細胞が、細胞質(原形質)を凝縮して、細胞壁から分離した原形質分離の状態でしたが、中には全く生のベシクル細胞と同じように、凝縮像のない細胞がみられました。みかんやレモンと同じように、ベシクル細胞の原形質分離が、ベシクルの中央部の丸み細胞で、分離のみられないベシクル細胞と混在していました。

 このように、カンキツのベシクルは、糖の各濃度の外液に接した場合、時間とともに水の出入りと糖の出入りの違いにより、重さや糖度の変化するいわゆる全透性を示す性質のあることを知りました。そして、ハッサクはこの全透性において、鈍い性質があり、外液の浸透圧に強い耐性を持っているものと思われました。
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