キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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カンキツのベシクル細胞の染色性と糖浸透速度
 これまで、カンキツのベシクル細胞は、外液の蔗糖液からよく糖を吸収することをみてきました。それでは、どのくらいの吸収速度で、糖を浸透しているのでしょうか。また、どの品種がより早く、よりたくさん吸収しているのでしょうか。そこで、目で簡単に見える方法で吸収速度を表現するために、糖液に混入のニュートラルレッド(NR)色素での、染色ベシクル出現の時間経過を測定してみました。

somewake八朔時間
somewake染め速度

1)染色ベシクルの出現
 30%糖液の高張NR液に浸漬しますと、10時間以内に八朔、デコポンいずれも、半数のベシクルが染色されました。そして、八朔では、すべてのベシクルが染色されるのに、30時間以上を必要としました。数時間ですべての細胞が染まった、玉ねぎの表皮細胞と比べますと、カンキツのベシクルは、かなりの浸透抵抗を示すことになりました。しかし、カンキツのベシクルの先端部や柄部さらには基底膜の細胞は、玉ねぎ表皮細胞と同様に、短時間のうちに容易に染色されました。一方、ベシクル浸漬では、ベシクル中央部の丸型の細胞に色素が到達するのに、30時間たっても染色されていませんでした。

somewake玉ねぎ
somewake八朔速度3

2)染色率と糖の増加率との関係
 そこで、染色率のゆっくりしていた八朔を使って、高張液下でのベシクル染色率と、ベシクル糖度の増加率を経時的に調べました。その結果、糖は極めて速やかに吸収されたのに対して、すべてのベシクルが染色されるには、30時間という長い時間を必要とすることがわかりました。生体染色色素といわれていますニュートラルレッドの浸透は、ベシクルの吸収選択性を受けるものと思われました。
 ベシクルの重さは、糖の滲入が速やかな20時間以内は、速やかに減少していました。しかし、その後はすべてのベシクルが染まる30時間まで、重さの変化は少ないものでした。ベシクルの糖吸収能の悪くなったベシクルが、染色されやすいと思われました。

somewake10to30.gif

3)染色ベシクル細胞の原形質分離
 そこで、染色されなかったベシクル細胞と、染色されたものとの原形質分離の状態を、顕鏡しました。染色ベシクルでは、すべての中央の細胞が原形質分離していました。色素は、細胞壁と凝縮した細胞質(原形質)の間に浸透していました。このことから、糖の浸透に比較しますと、NR色素がすべてのベシクル細胞の液胞に達するまで長時間の滲入時間を要しますので、ベシクルから中央部のベシクル細胞を取り出し、外液からの色素の浸透を直接確かめる必要がありました。

 カンキツのベシクルのNR色素染色性には、浸透時間に品種間差異がみられることや、また、ベシクルの部位によって大きく異なるなどの特徴がみられました。色素を使って水や糖の浸透との関係を明らかにするには、さらに、細胞壁、細胞膜、液胞膜(トノプラスト)の透過性を考えながら検討する必要がありました。
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