キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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ミカンのベシクル細胞のニュートラルレッド色素染色
mikansome1濃淡

 みかんのベシクルは、高濃度の糖水溶液の外液から、容易に糖を吸収します。この糖の蓄積の様子を可視化するのに、糖の浸透と同調して吸収される生体色素を検討してきました。ベシクルの糖の集積部位の中心は、ベシクル中央部の大きな丸型柔細胞であり、細胞のオルガネラ(小器官)の一つである液胞にあります。そこで、細胞の液胞を生体染色するとされるニュートラルレッド(NR)色素を用いて、みかんベシクルの染色性について調査、検討しました。

mikansome1糖違い
mikansome1重さ

1)ベシクルのNR染色性
 NR水溶液を濃度の異なる蔗糖液(30%、20%、10%、0%)として、ベシクルへの浸漬14時間後の染まり具合を比較しました。その結果、糖の濃度に関わりなく、淡く染色されたベシクルと、濃く染色されたベシクルが現れました。淡い染色状態は、14時間では濃く染まるまでの途上かと考えられました。先の八朔の試験では、すべてのベシクルが濃く染色されるのに30時間を要しました。色素の浸透は、糖の浸透速度より、はるかに遅いものでした。高張液(30%、20%)では、濃色に染まったベシクルが、淡色よりはるかに高い糖度を示しましたので、NRの浸透は、糖の浸透と同調しているといえそうでした。

mikansome1周辺中央

2)ベシクル細胞のNR染色性
 染色されたベシクルを解剖して、色素の浸透部位を観察しました。その結果、周辺部の細胞は染められていたのですが、中央部は染められていず、色素の浸透が遅いか、周辺部から中央部に入りにくいことがわかりました。ベシクルの中央部には、周辺部から色素の浸透を遅延させる機構がありそうでした。

mikansome1細胞模型

 カンキツの甘い品種、酸っぱい品種、苦い品種など味についての違いが、糖や酸やフェノール類の生理代謝に関わる酵素の存否でもたらされることは、さきのブログで述べました。これらの味物質は、すべて細胞のオルガネラである液胞に蓄積されます。したがって、中央部の液胞への浸透生理を極めることが、カンキツの育種や栽培やポストハーベストの技術開発の基本となると思われます。

関連記事: カンキツの糖蓄積のメカニズム 12/01/10
      カンキツのベシクル細胞の染色性と糖浸透速度 16/01/12

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