キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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みかん果肉のベシクル細胞の生体染色
 生体染色とは、生きた状態で、生物の器官や組織や細胞を染め分けることで、染色剤としてニュートラルレッド(NR)が、歴史的によく使われてきました。さきに述べましたように、NRを含んだ蔗糖液に、みかんのベシクルを沈めておきますと、時間ととも赤く染まってくることを知りました。そこで、みかんのベシクルの水の出入り(osmosis) や糖の出入り(diffusion) の浸透生理と、NRの浸透染色性とどのような関係にあるか、調べました。

mikasome2-ベシクル部位

1)ベシクルの部位別呼称
 みかんのベシクルは、これまで考えていたより、はるかに分化しているといえました。そこで、これを、ベシクルの先端部、基部、ベシクルの周辺部、中央部と便宜的に部位別に呼称して、各部位の細胞の種類を観察しました。周辺部は、直径が10ミクロン程度で、長さが150ミクロン程度の棒状の柔細胞が、数層状に構成されていました。そして、先端部は類似の棒状柔細胞が1層になってカバーしていました。また、柄部は、すべてこの棒状の柔細胞で束状に構成されていました。一方、中央部は、直径が200ミクロン程度の巨大な丸型の柔細胞で構成されて、周辺部ほど小さい丸型の柔細胞となっていました。そして、先端部はさらに小型の丸い柔細胞で構成されていました。
関連記事:カンキツ果肉ベシクルの解剖。13/04/06

mikansome2蜜柑細胞部位
mikansome2ベシ重変化
mikansome2糖変化率

2)ベシクルのNR染色性
 NRを含む糖液にベシクルを浸漬しますと、時間とともに赤く呈色してきました。そこで、14時間後に、ベシクルを取り出し、ピンク色の呈色ベシクルと赤色の呈色ベシクルに分けて、糖度を測定しましたところ、高張液の外液では、すべて赤色濃度の高いベシクルが、高い糖度を示しました。このことは、NRに染まりやすいベシクルほど、糖のベシクルへの拡散浸透が早いといえ、NRは糖の動きに同調しているといえそうでした。しかし、染色部位は、40時間後でも中央部の柔細胞を赤く染めることはありませんでした。

mikansome2水溶液

3)ベシクル細胞のNR染色性
 そこで、中央部の丸型の柔細胞を短時間で染色するために、ベシクルから中央部だけを取り出し、NR染色液に浸漬しました。その結果、これらの丸型柔細胞は、外液の糖濃度に関係なく、染色剤を短時間で浸透しました。そして、細胞壁はピンクに呈色し、細胞質(原形質)は黄色に呈色しましたので、染め分けが可能となりました。

 ニュートラルレッドは、pHの酸性側(pH6.8以下)では黄色に呈色し、アルカリ性側では(pH8 以上)では赤色に呈色する特性を持っていて、pH指示薬に用いられる場合もありました。このことから、赤色に染まったベシクル細胞壁はアルカリ性側に、また一方、細胞膜につつまれた、有機酸を持つ液胞を含む細胞質が、黄色に着色したものと思われました。このような経緯で、NRによる生体染色によって、大きな液胞を持つ中央部のベシクル細胞の原形質分離の状況が、よく観察できるようになりました。

関連記事:ウンシュウミカンの糖質のこと。11/11/15
     カンキツの糖蓄積のメカニズム。12/01/10



2月13日にご質問くださったMさんへ:
質問内容:アフォーラがおいしかった。実生を鉢植えにしていますが、栽培方法を教えてください。
 
 目的がわかりませんが、果実を作りたいのでしょうか。
 鉢植えの実生から、花がつき結実できる木まで育てるには、少なくても10年はかかります。そこで、カンキツ栽培では茎の一部をつぎ穂として、カラタチの台木につぎ木しています。このような接ぎ木苗からですと、屋外で5年後に果実がみられるようになります。また、みかんの木が既にありますと、高接ぎ法という技術で、木の一部にアフォーラの枝を付けることができます。そのような枝には、3年以降に実がつくようになります。いづれにしても、気の長い話です。お野菜のようにはいきません。
 それにしても、みかんの最大のライバルであるアフォーラを、日本でも早く作りたいと思っています。実生が大きくなったら、どなたかお知り合いの農家さんがおられれば、枝を持って行って、カラタチ台のアオーラ苗木を養成してもらったらいかがでしょう。接ぎ木苗のアフォーラ樹ですと、鉢植えで花や果実を安定して楽しめます。
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