キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
201710<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201712
土佐文旦のベシクル細胞の生体染色
tosasomeベシクル列

 高知特産の土佐文旦は、果肉に5500個ほどの多くのベシクルを持っていて、ほとんどが60mgほどの大きな長柄ベシクルで占められています。ニュートラルレッド色素(NR)で生体染色した場合の、ベシクル細胞の染色性を観察しました。
tosasome糖度
tosasome重さ
tosasomeベシ染色性


1)ベシクルの染色性
 蔗糖を0%、10%、20%、30%含むNR液に、果肉の長柄ベシクル各50個を浸漬しました。そして、24時間後に染色具合をみましたところ、いずれの糖度でも、相対的に染まり具合が弱く、どの糖濃度の外液区でも、ほとんど染色されていないベシクルと、全身が桃色に染まったベシクルがみられました。そこで、NRの浸透の遅かった淡ベシクルと、やや浸透した両端だけ染まった濃ベシクル、さらに、全体がピンクに染まった濃ベシクルの3つのベシクルグループに分けて、ベシクルの重さの変化と糖度の変化を、測定しました。その結果、ベシクルの重さでも、糖度でも、各群に大きな違いがみられました。そして、外液の糖度が高いほど、染色度と糖度の差が大きくなりました。しかし、低張液では、染まったベシクルの糖度は低いものでした。
 また、着色したベシクルの内部を解剖観察しましたところ、中央部の容積の大きなベシクル細胞は、染色されていませんでした。

tosasome細胞染め

2)ベシクル細胞の染色性
 そこで、ベシクル中央部だけを摘出して、上のようなシリーズのNR液に組織染色しましたところ、1時間以内に、ベシクル細胞が速やかに染色されました。細胞壁は赤色に、細胞質は黄色にNR染剤で染め分けられ、外液に対する細胞質の反応が、観察できるようになりました。そして、原形質分離が、30%糖液の場合に顕著に認められました。しかし、細胞壁の形はほとんど影響されませんでした。
 
tosasome先端部

 この結果から、パール柑での観察と同じように、土佐文旦ベシクルの中央部の大きな液胞細胞は、30%糖度の20気圧以上の高い浸透圧でも、その形を維持していることになりました。中央部のベシクルが周辺部の小さくて細い細胞で保護されているばかりでなく、ベシクル細胞そのものの浸透圧耐性も高いことが判明しました。ベシクルの細胞壁の性質の違いが、品種間に相当みられるようでした。
スポンサーサイト
ランキングに参加しています。良かったら押してください。

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 グルメブログ フルーツへ
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.