キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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ベシクルはどんな細胞でできていますか
saiboudaiベシクル

カンキツ果実の食べている中心は、果肉の粒々のしゃじょう(パルプベシクル)でしょう。ベシクルがどのような細胞で構成されているかは、従来、同じような性質の柔細胞で形作られていると、単純に思われてきました。しかし、これまでのベシクルの観察で、かなり分化した組織体であることがはっきりしてきましたので、それらをとりまとめてみました。

1)構成細胞の種類・類別
 ベシクルを構成している細胞は、3種類に類別されました。
saiboudai-棒状細胞
 
①棒状細胞ーーーベシクルの周辺部1層とベシクル柄を形作る細胞群で、細胞質に富み、細胞間に多くの原形質連絡糸を有する細胞。表面はクチクラで被われています。
saiboudai-先端部細胞

 ②先端部細胞ー ベシクルの先端部を構成する極めて小さな細胞群で、著しく細胞質に富み、細胞壁の薄い細胞。細胞分裂能力を有していると思われます。
saiboudai-液胞細胞

 ③液胞細胞ーー棒状細胞で周囲を包まれた中央部の細胞群で、中央部ほど大型の細胞で構成されていて、液胞が90%以上を占める細胞。液胞に糖などの多様な成分を蓄積している。原形質分離がみられる。
 これらの細胞は、すべて植物柔細胞(parenchima cell)でした。維管束細胞はみられませんでした。

saiboudai-大頻度

2) 細胞の大きさ
 細胞の大きさは、ベシクル細胞の種類によって、大きく異なりました。棒状細胞は、直径が5ミクロン以下で長さが200ミクロン程度の大きさでした。
 先端部細胞は、先のとがった鋭利な先端部では、5ミクロン以下の直径で極めて小型でした。また、平坦な丸みのある先端部では、30ミクロン程度の直径を持っていました。
 液胞細胞は、中心部には、直径300ミクロンを超えるほどの大きな細胞が時としてみられ、周辺にゆくにつれ小型化しました。
 ベシクルの部位で、細胞の形状が違っているばかりでなく、細胞の大きさが部位間で大きいのには驚かされました。このことは、ベシクルは、その生長の過程で、部位間の細胞壁の滑り現象を大きくみせたものと、推定させました。滑り現象は、細胞間の原形質連絡糸の切断をともなっていると解釈されます。

saiboudai-品種間

3)液胞細胞の大きさの品種間差異
 ベシクル中央部でみられる液胞細胞の最大の大きさを、16の品種間で比較しました。細胞の大きさは、断面の面積(mm2)で比較しました。最大の細胞は0.1mm2位あり、これは水晶文旦でみられました。そして、大方のベシクル細胞(67%)は、0.028~0.042㎜2の大きさの範囲内でした。また、酸果のレモンとユズは、小さな細胞を持っていました。
 品種の平均的な果実の大きさと、測定した細胞の大きさとの間には、相関関係がありました。しかし、酸果については、明白でありませんでした。液胞が小さいのではと思われました。

 ベシクルの細胞構成や細胞大きさなどの構造についての情報は、ベシクルの糖集積や酸代謝などの機能を理解するうえで、とても大切なように思われますので、さらに品種や測定数を拡大にして、構造と機能の関係を明らかにしてゆきたいと思っています。
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