キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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果肉細胞の大きさを比較する
saibohikaku-SEM像

 キリンの首の神経細胞は、1メートルを超えるほど長いそうです。細胞壁をもつ植物細胞では、このような長い細胞はみられません。植物では、篩管や導管は100mを超すほどの長さがありますが、死んだ細胞のつながった管になっています。一般的には(Wikibooksによりますと)、細胞の大きさは、動物細胞では10-30ミクロン程度の直径であり、植物細胞では10-100ミクロン程度あるとされています。これまでベシクル細胞を観察してきましたが、カンキツの果肉のベシクルの中央部細胞は、直径300-400ミクロン程度あり、教科書記載をはるかに超える大きさでした。そこで、いくつかの果実の果肉細胞について、大きさを比較してみました。

saibohikaku-種類間
saibohikaku-リンゴ
saibohikakuバナナ

1)果肉細胞の果実種類間差
 細胞の大きさは、ホールグラスに果肉を取り、顕鏡下で最大の細胞について縦と横を図り、平均の直径値(ミクロン)として表しました。その結果、細胞の大きさは、キウイフルーツ(ヘイワード)>リンゴ(ふじ)>カンキツ(デコポン)>ブドウ(藤稔)>カキ(富有)>バナナ(キャベンデッシュ)>アボカド(フエルテ)の順位に大きい細胞がみられました。キウイフルーツでは、直径800ミクロンμmの巨大な細胞がみられました。

saibohikaku品種間
saibohikakuデコポン
saibohikakuキウイ
saibohikaku-アボカド

2)果肉細胞の品種間差
 細胞の大きさは、同じ種類であっても、その品種の間で大きな違いをみせました。同程度の重さ(大きさ)の果実で、細胞の大きさに大きな開きがみられましたので、小さな細胞の果肉には、細胞の数が多いものと思われました。もっとも、果肉は、細胞の大きさと細胞数と細胞間隙で構成されていますので、厳密には、細胞間隙の容積も考慮する必要があります。

saibohikaku-石細胞

3)果肉細胞の多様性
 果肉は、ほとんどが柔細胞で構成されていますが、中には特殊な分化をした細胞を含む果肉もあります。よく知られていますように、カキにはタンニンを集積した澁細胞があり、ナシにはリグニンを集積して硬化した石細胞がみられるなど、異形細胞が柔細胞の間に散在しています。また、キウイフルーツのように、液胞のよく発達した巨大細胞と、これを取り巻き、遅くまでデンプン粒を保持した小さな柔細胞の混在した果肉など、均等でない大きさの細胞構成となっています。これらの、果肉構成の多様性は、人にとって食感の違いを齎しています。

 一般に、細胞の大きさは遺伝的に支配されていて、草本植物では細胞のDNA量(picog、bp)に相関すると考えられています(しかし、果肉ではバラつきが大きくて、無相関でした)。また、動物に比較して、植物細胞の大きい要因に、液胞の発達が挙げられています。果肉は液胞の極めて発達した柔細胞でなりたっていますので、果肉では、生体膜とくに液胞膜の肥大にかかわる遺伝的要因(QTL)について、今後さらに追究する必要がありそうです。
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