キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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糖とニュートラルレッド色素のベシクルでの移動様式の違い
sintou染分け新

 カンキツ果肉のベシクルには、篩管や導管などの維管束組織がありません。物質の移動には、細胞から細胞へと次々と浸透する必要があります。生命活動に必要な蔗糖(分子量342.30)と、必要ないニュートラルレッド(NR)色素(分子量288.78)の吸収、移動には、違いがあるのかどうか、これまでの生体染色試験を纏めて、検討してみました。

sintou種類間差新

1)ベシクルの蔗糖濃度は外液の蔗糖濃度に従って増減する
 ベシクルは、外液の蔗糖濃度に従って、低張液域ではベシクルの糖の排出を、等張液域では糖の出入りなく、高張液域ではベシクルへ糖の吸収を行ったことが、24時間浸透後に確かめられました。このベシクルの糖濃度の増減は、外液の糖濃度と正比例しました。また、糖の滲出、滲入の速度は、カンキツの種類間で大きく異なりました。最も早かったのは、レモンでした。

sintou染分け品種新

2)ベシクルのNR染色度は外液の糖濃度と相関しない
 NRを含む高い糖の外液では、糖を多く吸収したベシクルが多く、染色色素と糖を同調して吸収しているかと思わせました。しかし、24時間後の所見から、色素のベシクルへの浸透は、ベシクルの糖の排出、吸収に関係なく一定の速度で、ベシクルを移動浸透すると結論されました。また、ベシクルのNR染色浸透速度には、カンキツの種類によって大きな違いがみられました。

sintou転流法2様新
sintou中央部新

3)糖と色素の異なる移動様式
 一般に、植物体で、維管束のない組織部では、細胞壁(動物細胞にない)や細胞間隙を、毛管力などで伝う物質移動様式(アポプラスト、apoplast)と、細胞間を繋ぐ原形質連絡糸を浸透圧力などで伝う物質移動様式(シンプラスト、symplast)の2様の転流が、知られています。
 このことから、巨大な液胞をもつベシクルでは、糖は、浸透圧で受動的に液胞にはいるか、あるいは、液胞膜(トノプラスト)に座上するATPポンプで、能動的に共役して液胞に浸透すると考えられ、細胞間ではシンプラスチックな移動をしていると推定できました。
 一方、NRの生体染色の浸透では、糖の浸透と比べてみて、浸透速度が遅く、細胞染色位置の違いがみられ、アポプラスチックな移動が主におこなわれると推定できました。
 蔗糖とNR色素では、異なった浸透、移動様式を採っていることを、ベシクルの生体染色試験によって、明らかにすることができました。そして、品種によって、ベシクルでのアポプラスチックな移動、シンプラスチックな移動の能力が、相当異なることを実証できました。
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