キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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果実のカリウムはどのくらいありますか
 植物の健全な生活には、細胞の浸透圧の恒常性やスムースな酵素活性を約束するイオン環境が、極めて重要になります。カリウムはこれらに最も関連した陽イオンであり、果実で最も高い濃度を持ちます。そして、水ポテンシャルの調節、しょ糖輸送の調節などを行うとされています。とくに、カリウムに富んだ果実は、ヒトにとっては、アルカリ食品として健康に貢献しています。果肉のカリウムについて、2,3の知見を紹介します。

kariアボカド
kari種類別

1)果実の種類の違い
 まず、果実の種類での違いをみましたところ、多くの果実に、カリウム濃度が果肉100g中に100mgから300mgほど多くありました。中でも、最も多いカリウム濃度はアボカドで知られ、700mgありました。また、カルシウムとのカリウムの相関関係は、果実ではみられませんでした。

kariカンキツ別

2)カンキツの種類の違い
 カンキツは果肉100g中に100-250mgのカリウムを含みました。いまだ試料が少ないために、カリウムの濃度に分類学的な類別は、知られませんでした。また、カンキツ果肉でも、カルシウムとカリウムの間の相関関係は、ありませんでした。
 
kari酸K肥効

3)カリウムの施肥試験
 一般に、植物体は哺乳動物より2倍ほど多くのカリウムを含み、灰分100g中に1.4g程度持っているとされています。ミカン樹では、9月ごろの葉灰分100g中に、カリウムを1.6g程度持つ状態が、健全と診断されます。カリウムが不足した樹体では、収量の低下や果実の小玉化で、生産性が低くなります。そのようなことから、カリウム肥料は実肥えと呼ばれ、窒素肥料、リン酸肥料とともに、毎年春、夏、秋に分けて施肥作業がなされています。成分量は10アールあたりに、窒素30㎏、リン酸21kg、カリ24㎏の大量の化成肥料が用いられています。

kari果肉,果皮

4)カリウムの体内移動
 窒素がアミノ酸の、リンが核酸や細胞膜のリン脂質の構成元素であるのに対して、カリウムを構成元素とした主要な物質は、植物体内にみあたりません。なぜ大量のカリ施肥を必要とするのかは、1980年代から導入がなされた原子吸光分析装置を使い、植物体の組織・細胞レベルの細かい分析が可能となってから、その理由が明らかになりました。

kariK-Ca比

 ミカンでは、カリウムの含量が、葉の5分の1ほど果実にありました。茎や根にはその中間程度でした。また、果皮と果肉では、ミカンでは果肉にカリウムの含量が多かったのに対して、スターフルーツでは果皮に多くありました。この違いは、ミカンが内果皮由来、スターフルーツが中果皮由来の成り立ちの違いにありそうです。
 カリウムは簡単に水に溶出する陽イオン状態と、有機酸などと結合した不溶性金属として存在していました。カリ含量の多いミカン葉では、果実肥大期に不溶性の置換されたカリウムイオンが、果実に大量に移動していました。そして、カリウムイオンは細胞質に集積して、浸透圧を高めました。その膨圧により細胞の肥大生理機能に貢献しているものとみられました。また、果実の肥大期には、しょ糖が果肉の液胞に蓄積して、高い浸透圧を生み出しています。カリウムは細胞質の浸透圧を、しょ糖は液胞の浸透圧をと機能分担しているのではないかと思われました。
 
 また、カリウムはピルビン酸キナーゼなど各種の酵素の補酵素として、活性化に貢献するといわれています。カリウムが、生体膜の酵素にどのように触媒作用を示しているか、さらに研究を必要としています。
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