キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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果肉のマグネシウムはどのくらいありますか
magnecium欠乏葉
magnecium分子式

 マグネシウム(Mg)は、窒素、リン、カリウム、カルシウムとともに、多量要素として必須な植物の元素です。したがって、栽培では、適量の施肥を必要としています。
 植物体では、Mgは、葉緑素の中心核の元素となっていて、ポルフィリン環の中央で結合しています。Mgが欠乏すると、葉は、葉緑素欠乏で黄化します。黄化は、古い葉から葉肉に目立ち始めて、化学肥料の連用のみかん園では、よく目につくようになります。
 また、Mgは、キナーゼをはじめ、リンの関与する多くの酵素反応の活性剤として作用しています。果肉のMg含量について、2,3の知見を紹介します。

magnesium種類間

1)果肉のMg含量の種類間差
 21種類の果樹のほとんどの果肉には、新鮮重100gあたり5-15mgのMgが含まれていました。最も多いバナナには35mgありました。また、カリウムの含量との相関関係は、果肉では知られませんでした。

magnesiumカンキツ

2)果肉のMg含量のカンキツ種類間差
 19種類のカンキツの果肉には、5種類で新鮮重100gあたり10-12mgありましたが、その他の種類では、極めて少ない含量でした。また、カリウムの含量との相関関係は、知られませんでした。


magnesium無機成分葉
magneciumミカン相関係数

3)器官別のMg含量の相違
 Mg は、果肉に少なかったのですが、葉、茎、根の器官では、多くの含量が知られました。秋口のミカンの葉には、Mgが灰分の0.3%ほどあり、果実の0.03%と大きな違いがみられました。その際、葉に0.15%以下ですと、みかん樹はMg欠乏状態と診断されます。
 葉の無機成分間では、Mg含量は、K含量とはプラス相関を、PやCa含量とはマイナス相関を示しました。

magnesium可溶不溶
magneciumスターフルーツ断

 1980年代から液体クロマトグラフィーや原子吸光光度計が使えるようになって、不溶性Mgと可溶性Mgに分けて、少量の試料の含量を、細かく測定できるようになりました。植物のMgの存在は、葉緑素のように結合して不溶性となっているばかりでなく、水に溶出する陽イオンの状態も知らています。
 スターフルーツの測定例では、葉、茎、根の順番に多くのMgがあり、不溶性Mgに比して、可溶性Mgがより多くありました。葉では新鮮重100gに400mg程度の多くのイオン状態の可溶性Mgが知られました。また、ミカンと同様、スターフルーツでも、果実には極めて少ないMg含量でした。
 また、ほとんどのCaが不溶性として存在していたのに対して、Kは水溶性となっていて、移動性に優れていることが分かりました。さらに、Mgは、器官によって、含量が大きく異なりましたが、可溶性、不溶性の両形態で存在していることを知りました。

 Mgは、ヒトにとっても、細胞のカリウムイオン環境保持や、骨の弾性維持に大切な元素といわれています。また、細胞がエネルギーを蓄積、消費するときに必須な元素とされています。Mgの摂食目標は、1日300mgとの報告があります。ヒトのマグネシウム不足状態は、長引く疲労や細胞浮腫や高血圧などを引き起こすようです。
 このようなことから、食物栽培では、有機質肥料や熔成リン肥、苦土石灰などMg施肥を徹底し、マグネシウムリッチな生産物を提供する必要があるでしょう。
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