キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
201708<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201710
ハウスみかんの果実側壁膜の解剖
sokuheki-食べ方

 以前、ハウスみかんと露地みかんでは、甘さの糖質が異なることを記事にしました(ウンシュウミカンの糖質のこと。2011/11/13、ハウスみかんのアイデンテイテイ―。2013/07/30)。1960年ごろに、初めてハウスみかんを食味したとき驚いたことに、その甘さの違いに気づいたことと、さらに、袋ごと食べられるほど、袋膜が柔らかかったことがありました。袋ごと食べられるみかんが、栽培できるんだ!!。強烈な印象となっていました。袋ごと食べられる、ハウスみかんの袋膜の解剖を試みました。

sokuheki-側壁
sokuheki-断面5

1 )袋の側壁膜の厚さ
 果肉の袋の膜は、ベシクルを分化している基底膜と2枚の側壁膜(section wall)(解剖学では隔膜または隔壁といいますseptum)からなります。側壁膜の厚さは、100から200マイクロメータ(μm)ほどあり、部位によってかなり違いがありました。膜の周辺の縫合部で厚くなっていました。そして、5から15の棒状細胞の層からなっていました。

sokuheki側壁細胞

2 )袋の側壁膜の構成細胞
 側壁膜は、直径が10-20 (μm)、長さが100-200μmの棒状の柔細胞で、すべて構成されていました。長柄ベシクルの頭部の表皮の棒状細胞と類似した細胞でした。側壁膜の外表皮側の棒状細胞と、ベシクル側の棒状細胞の違いは、表皮細胞を除いて、ありませんでした。細胞間隙はなく、すべての細胞が原形質と核を持っていました。

sokuheki側膜幅

3 )袋の側壁膜からの分泌物
 側壁膜の外表皮は、脂肪物質のクチクラを層状に分泌していました。さらに、その上下層部に蝋物質(ワックス)を析出していて、層をなしていました。一方、内表皮は、ワックスを斑状に析出していましたが、クチクラ層はみられませんでした。植物の表皮のクチクラは、普通、空気に接した面に分泌されるといわれていますが、みかんの袋の外表皮は、果実内部にかかわらず、空気に接する機会を持つているものと思われました。
 袋の側壁膜は、このような分泌物質と棒状細胞層で、ガスや液体の透過を許さない堅い膜となっていることが判明しました。

sokuhekiモデル描く

 袋ごと食べられるか否かは、人それぞれでしょう。ブドウの種を飲み込んで食べるか否かなど、類似した摂食上の問題は、たくさんあります。みかんの問題は、袋ごと食べたいという消費者の願望を、栽培技術で達成できるかどうか、隔壁膜形成の問題から紐解いてみることでしょう。
スポンサーサイト
ランキングに参加しています。良かったら押してください。

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 グルメブログ フルーツへ
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.