キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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レモン果実の側壁膜の解剖
kakumakueレモン果実
kakumakue膜

 レモンの果肉袋の側壁膜は、硬すぎて食べられそうもありません。袋ごと食べられるハウスみかんとの違いは、どこにあるのでしょうか。解剖結果を比較してみました。

kakumakueレモン厚さ

1 )袋の側壁膜の厚さ
 レモン果肉の袋膜の側壁膜の厚さは、400から500マイクロメータ(μm)ほどありました。ハウスみかんの100-200μmと比較しますと、ずいぶん厚い膜でした。そして、細胞の大きさは外層が細く長く、内層は太い棒状の柔細胞層となっていました。

kakumakue外表皮
kakumakue内表皮

2 )袋の側壁膜の構成細胞
 側壁膜の外層の3層ほどは、直径が10-20 (μm)、長さが500-600μmの棒状の柔細胞で、すべて構成されていました。それ以下の内層は、長柄ベシクルの頭部の表皮の棒状細胞と類似した細胞で、直径が20-30μmで、長さが250-300μm程度の棒状細胞でした。ハウスみかんと異なり、側壁膜の外表皮側の棒状細胞と、ベシクル側の内層では、棒状細胞の違いがありました。細胞間隙はなく、外層部は、ハウスみかんではみられなかった、硬膜化した組織になっていました。

kakumakue横断面

3 )袋の側壁膜からの分泌物
 側壁膜の外表皮は、脂肪物質のクチクラを層状に分泌していました。しかし、ハウスみかんのような蝋物質(ワックス)の下層は、みられませんでした。一方、内表皮は、ワックスを斑状に析出していましたが、さほど多くはありませんでした。
 
kakumakue分離棒細胞

 果物をかじると、果肉の堅さが分かります。従来、かじり易さは、果肉の細胞壁膜の「厚さ」や、その「強さ」が関係していて、さらには、細胞同士の「離れやすさ」が関与するとされてきました。そして、硬さは、硬度計で測定し、細胞の質は、膜の化学成分の分析で比較してきました。
 側壁膜の分析データはこれまでありませんので、果肉ベシクル細胞のデータで比較してみますと、レモンがペクチンなど可溶性の食物繊維が33%、セルロースなどの不溶性の食物繊維が67%であったのに対して、ウンシュウミカンはそれぞれ87%と13%となっていました。この割合を参考にしますと、ハウスみかんの袋ごとの食べやすさは、袋膜の薄さに加えて、ワックスの多さや、ペクチンの齎す細胞壁の柔らかさからくることが、推定できそうです。
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