キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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ネーブルオレンジ果実の側壁膜の解剖
kakumakunカット果実

 ネーブルオレンジは、その発見(1822年)以来、ウンシュウミカンと同様に、収穫期の異なる枝代わり系統品種を、多く生み出しました。中でも、南半球のオーストラリアでは、販路の関係から晩生系統の育成に力を入れてきて、普通のネーブルが6月に成熟するのに対して、11月に収穫する「ウルトラレイト」などの育成に成功しました。近頃の日本のネーブル市場は、アメリカ産に先駆けてこの品種で席巻されています。10月半ばの「ウルトラレイト」ネーブルの側壁膜(隔膜)の解剖を試みました。

kakumakun膜壁
kakumakun細胞太さ
kakumakun横断

1 )袋の側壁膜の厚さ
 ネーブル果肉の袋膜の側壁膜の厚さは、200マイクロメータ(μm)前後ありました。レモンの400ー500μm、ハウスみかんの100ー200μmの厚さとの中間程度でした。そして、側壁膜は平滑でなく、ベシクル痕の間で、外側に突出した状態で厚くなっているという、特徴がありました。ベシクル痕が極めてはっきりしていました。

kakumakun棒細胞ネーブル
kakumakun細胞幅

2 )袋の側壁膜の構成細胞
 側壁膜の外層の数層ほどは、直径が16μm前後、長さが200-450μmの棒状の柔細胞で、すべて構成されていました。それ以下の内層は、長柄ベシクルの頭部の表皮の棒状細胞と類似した細胞で、直径が20-30μmで、長さが250-300μm程度の棒状細胞でした。ハウスみかんと異なり、側壁膜の外表皮側の棒状細胞と、ベシクル側の内層では、棒状細胞大きさの違いがありました。細胞間隙はなく、外層部は、ハウスみかんではみられなかった、硬膜化した組織になっていました。

kakumakun棒状
kakumakun内側棒状

3 )袋の側壁膜からの分泌物
 側壁膜の外表皮は、脂肪物質のクチクラを層状に分泌していました。さらに、蝋物質(ワックス)の分泌が極めて顕著で、とくに下層の内表皮や表面には、多くのワックスを析出していました。
 
kakumakun縦断

 果肉の堅さは、細胞壁膜の「厚さ」や、その「強さ」が関係していて、さらには、細胞同士の「離れやすさ」が関与するとされてきました。ネーブルの側壁膜は、きわめて多くのワックスを含み、呑み込みやすくなっているように思われました。袋ごと食べれているヒトもありますので、平滑さを欠いた膜の破れやすさが加わって、可食性の袋の果実栽培が、ネーブルでは容易かもしれません。
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