キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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グレープフルーツ果実の側壁膜の解剖
sokukabeGr果実

 剝皮の難しいグレープフルーツの食べ方は、横半切りした果肉をスプーンですくって口にするのが、一般的でしょう。食べた後には、しっかりとした側壁膜が残っています。南アフリカ産グレープフルーツの側壁膜の解剖を試みました。

sokukabe壁厚2

1 )袋の側壁膜の厚さ
 側壁膜の厚さは、200から700マイクロメータ(μm)ほどあり、部位によってかなり違いがありました。平均値は420μありましたので、大体みかんの4倍ほどの厚みがありました。また、膜の周辺の縫合部で厚くなっていました。そして、30から50の棒状細胞の層からなっていました。

sokukabe壁厚
sokukabe厚膜細胞

2 )袋の側壁膜の構成細胞
 側壁膜は、外層部と内層部で細胞の大きさが異なりました。外層部は、直径が20から40μm、長さが500μm程度の棒状の柔細胞で構成され、細胞膜はすべて厚膜化していました(sclerenchyma )。内層部は、直径が50から60μmで、長さが350μm程度あり、細胞膜の肥厚は目立ちませんでした(parenchyma )。また、どの部位でも、細胞間隙のない細胞配列となっていました。

sokukabe断面2

3 )袋の側壁膜からの分泌物
 側壁膜の外表皮は、脂肪物質のクチクラを層状に分泌していました。さらに、クチクラの内部に蝋物質(ワックス)を析出していました。一方、内表皮は、ワックスを斑状に析出していましたが、クチクラ層はみられませんでした。外層部の細胞には、リグニンの沈着がみられました。グレープフルーツの袋の側壁膜は、このような分泌物質や細胞の硬膜化の違いで2層構造をとっていました。

sokukabe側壁縦切り

 このように、グレープフルーツの側壁膜は、厚く、構成細胞数が多く、さらに、膜半分の外層の細胞は硬膜化していて、クチクラも厚く、極めて強固な膜構造をとっていました。クチクラは、脂肪状、ワックス状の物質で、不飽和度の高い脂肪酸類とそのエステル化合物の重合化した混合物であり、勿論、水や濃硫酸、アルカリにも不溶でありまして、表皮の保護に役立っています。側壁膜は、体内膜といっても、極めて強固にできているといえるようです。

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