キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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果肉の細胞壁膜の化学成分の違い
seniいろいろ果実
 
果肉の細胞壁膜は、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニンなどの化学成分で成り立っています。それらの違いは、細胞壁膜のネット骨格構造のミクロフイブリルを構成しているセルロース、セルロースを結び付けているヘミセルロース、細胞壁膜を堅くするリグニンであり、いずれも水に不溶性です。一方、細胞と細胞を結合しているペクチンは水溶性です。これらの化学成分の含有割合の違いが、果肉を食べた時の食感に影響してきます。木材はほとんどリグニンで、硬くて食べられません。また、これらの成分は、すべて植物性食物繊維になります。果実の種類の違いで、どの程度異なるかをまとめてみました。

seni種類間

1)熱帯果実の種類間の違い
 21種類の熱帯果実で、食物繊維の最も多かったのは、果肉新鮮重100gあたり6g持っていたグワバでした。平均的には2g程度持っていましたが、マンゴーは1g程度で、思いのほか果肉には少ない含量でした。

seni種類温帯

2)温帯果実の種類間の違い
 18種類の温帯果実で、果肉には、最大のイチジクが新鮮重100gあたり5g持っていました。平均的には2g程度で、熱帯果実のそれと変わりませんでした。最も少なかったのはブンタンで、0.5g程度で極めて少ない量でした。

seni種類成分

3)種類間の化学成分の違い
 果肉の化学成分含量の違いを、ウンシュウミカン、ヨウナシ、ニホンナシ、リンゴで比較しました。リンゴとナシにはへミセルロースが多く、ミカンにはペクチンが多いという特徴がありました。ヘミセルロースは、マンナン、ガラクタン、フラクタン、ウロン酸などを成分としていますが、これらはいづれも消化不能の炭水化物です。

seni石細胞ナシ

 ナシには、リグニンが多く、リグニンは果肉に含まれる石細胞成分となっています。ナシのじゃりじゃりした食感は、この石細胞塊の歯当たりのせいです。しかし、石細胞の密度と果肉の硬度との間には、必ずしも相関関係はありませんでした。果肉のどの部位に石細胞が多く分布しているかや、石細胞塊の大きさなどが、硬度や喉越しの問題のようでした。

seniカンキツ成分

4)カンキツ種類間の成分の違い
 果肉の化学成分含量の違いを、ウンシュウミカン、ダンシータンゼリン、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、マーシュシ―ドレスグレープフルーツで比較しました。カンキツ果肉細胞の化学成分は、主にベシクル膜(pulp)にあたりますので、その違いは果肉の食感の違いを齎すものと思われます。ベシクルの柔らかいミカンは、極めて高いペクチン含量を示しました。また、グレープフルーツ、オレンジは、比較的高いセルロース含量を示しました。ベシクル膜には、硬さを与えるリグニンがいずれも少ない量でした。
 
  周知のように、ヒトにとって、食物繊維は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどとともに、6大必須栄養素の一つになっています。その必須としての効能については、以前ブログ記事(カンキツの食物繊維の話;09/08/23)としました。植物細胞の細胞壁膜の成分は、クチクラや蝋物質(ワックス)などの細胞からの分泌物とともに、膜の化学成分の含量や組成の違いが、果肉の食感を左右しているものと思われます。
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