キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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カンキツのペクチン量の相違
pectinペ℃チン粉

 ジャムをつくる人にとって、ペクチンはおなじみの物質でしょう。ペクチンは、ペクチン質に富んだカンキツやリンゴの果実を使って、抽出、生産されています。ペクチン質(pectic substances)は, 水に溶けないプロトペクチンと、これの変換、低分子化した水に溶けるペクチン(正確にはぺクチニン酸)、さらに低分子化した水に溶けないペクチン酸などを含みます。未熟の果実には、ペクチンはほとんどありません。果実の成熟が進むと、ペクチンの量が増大してきて、果実が軟化してきます。

pectinモデル

 したがって、ジャム用のペクチンの生産には、成熟果の果皮や不良果などが用いられてきました。また、純度の高いリンゴのペクチンは、ペクチンが少ない果実(モモ、ビワ、サクランボ、ブドウなど)のジャム補添加用(ゲル化剤)に利用されています。果実のジャムつくりについては、別の話題にします。

 ペクチン質はあらゆる植物にあり、細胞と細胞の間(中葉)で糊のようなつなぎの役目をしています。またさらに、細胞壁のセルロース束(ミクロフイブリル)のネットワークの接着の役目を、ヘミセルロースとともに果たしています。このようなことから、ペクチン質が変性しますと、果肉の硬さが変化し、食感に影響を持ってきます。カンキツのペクチン質についてのこれまでの研究業績は少ないのですが、2,3の知見を紹介します。

pectin品種間

1)ペクチン量の果実種類間差
 一般に、カンキツのペクチン質は果皮に最も多く、普通温州で新鮮重100g中に6g程度、早生温州で4-5g程度含まれていました。これほどの多量成分ですので、カンキツはマンゴーとともに、ペクチン・リッチな果実として分類されています。果肉のベシクル新鮮重100g中には、バレンシアオレンジで0.1g、マーコットマンダリンで0.04g程度あり、その他の種類はこの範囲内にありました。ペクチン量の種類間差は、果実の成熟度と関係していますので、正確ではありませんが、成熟果には、水溶性のペクチンが、ペクチン質の4割から5割程度含まれていました。ペクチン量の種類間差に、分類学的類似性を探しても、はっきりしませんでした。このためにはさらに、データの積み上げが必要でしょう。

pectinエチレン処理
pectinぺcチン
2)エチレン処理によるペクチン質の変性
 カンキツの果肉はエチレンに接触しても硬さがかわりません。緑色果皮は褪せて黄色になるのですが、エチレン感受性のバナナなどのように、エチレンが細胞壁膜のペクチンメチルエステラーゼなどの酵素活性の引き金にならないようです。一般に、果肉軟化では、ペクチニン酸のカルボキシル基が加水分解されて、ペクチン酸が生成しますが、このプロセスはペクチンメチルエステラーゼ酵素(PME)で触媒されています。また、PME をコードしている遺伝子には、いくつかの遺伝子群があり、バナナでは、これらの遺伝子群のうちPME1遺伝子が発現して、ペクチンメチルエステラーゼの活性を促し、ペクチン含量を増大していました(Vermaら、2014)。カンキツ果肉ベシクルでのPME遺伝子発現の多型性についての研究がまたれています。

 カンキツ果肉のベシクルには、0.1%内外の多量のペクチン質があり、食物繊維としての整腸作用や健康増進に、さらには、ゲル化剤として食品工業に貢献しています。カンキツの袋膜には、果肉と同量程度のペクチン質が含まれていると予想されますので、袋ごと食べれるミカンの提供ができると、さらに一段と高いレベルの生鮮食品となることでしょう
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