キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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富柑の果実側壁膜の硬さを測る
tomikan1富果実

 富柑は、ハウスミカン程度の小型の果実で、より甘く、ほとんどの果肉が袋ごと食べられます。11月ごろ成熟する早生のカンキツです。この品種の1本の木から集めた果実について、側壁膜の硬度を測定し、果実の特徴を調べました。

tomikan1硬度

1 )袋の側壁膜の硬度
 富柑の側壁膜の硬度は、0.8㎏から2㎏あり、ほとんどの果実は袋ごと食べられました。1果に1000から2000本ほどあるベシクルも極めて柔らかく、とくに、1㎏以下の硬度の袋は、とても、口当たりがよくメルチーでした。

tomikan1形質相関

2) 側壁膜の硬度と果実形質との相関
 側壁膜は、果実の形質の一つですので、その他の形質との相関関係を計算してみました。その結果、硬度と袋の諸形質との間に、高い相関係数が得られました。硬度は、糖度あるいは油胞数と、高いプラスの相関関係にありました。また、果重、果形、果皮重、果肉重、室数、などの形質との間には、マイナスの相関関係が知られました。これまで、みかんなどでは、甘い袋が柔らかいといわれてきましたが、富柑では甘いほど硬い膜となっていました。膜の硬度と諸形質との有意な相関関係がこれまでよりはっきりしたのは、1本の木からとった果実の分析結果だったことによると、思われました。

tomikan1棒状細胞
tomikan1解剖相関

3)側壁膜の硬度と側壁膜組織構造との相関
 側壁膜はこれまでと同様にすべて棒状細胞で構成されていました。そこで、側壁膜の硬度と、棒状細胞の幅との相関係数を求めてみましたところ、マイナスの相関関係がみられました。側壁膜の硬度は側壁膜の厚さとは、相関関係にありませんでした。棒状細胞の幅の平均値は15.6μmで、また、側壁膜の厚さは122μmでありました。細胞の肥厚の発達は弱いものでした。少ない細胞数の層幅の側壁膜構造が、袋ごとの食べやすさに関係しているものと思われました。

 これまでのカンキツの育種や栽培では、消費者の嗜好に合わせて、より甘い果実の生産に精力が注がれてきました。各種の甘い優良な新品種が誕生し、また、甘さを乗せる高糖果生産技術が、開発されました。その結果、マーケットには、各種の甘い果実が陳列されるようになりました。今後さらに高度化のステップとしては、食べかすの出ない、より健康的なカンキツ栽培を志向する必要性があるでしょう。袋ごと食べれる果実のカンキツの育種や栽培法の開発が、甘さ追究後のイノベーションになることでしょう。

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