キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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カンキツ果実の側壁膜の発育
 袋ごと食べれるカンキツの果実は、袋の膜(segment membrane)が柔らかく、だれでも袋丸ごと嚥下できる食形態でしょう。はたして、カンキツの袋膜が、どのように分化して、発達するのか、その形態形成過程について観察しました。

tomikan2富柑肥大

1)果実の発達
 側壁膜の形態形成は、果実の生長とともに進行しますので、果実の生長のパターンについて、早生性の富柑の幼果から成熟果までの果実を使って観察しました。
 果実は、他のカンキツと同様に、シグモイド曲線(S字曲線)で成長しました。開花後60日までのゆっくりした幼果成長期「第1期」、次いでのち160日までの急速な100日間の果実肥大期「第2期」、さらにのち収穫180日までのゆっくりした生育の20日間の成熟期「第3期」をみせました。

tomikan2容積

 果実は、風船が膨らむように、内部が等しく生育していませんでした。果皮部と果肉部では、ステージごとに真逆な生育がみられました。果皮部は、果実が急速に生育する第2期には、ほとんど容積の増大をみせず、第3期に入って容積の拡大をみせました。この両者の生育パターンの相違は、カンキツ果実の独特の性質でしょう。

tomikan2富柑2

2)側壁膜の分化、発達
 幼果の第1期では、側壁膜は認められず、一枚の隔壁(心皮壁septum)となっていました。その後、6月を過ぎる第2期に入ると、隔壁膜の中央部の細胞層が溶解し(細胞がアポトーシスをみせ)、2枚の側壁膜に分離してきました。種類によって、成熟した果実が、袋離れの良い種類と、難しい種類がありますが、この性質の差は第2期に決定されるものと思われました。側壁膜の厚さは成熟までに徐々に薄くなっていきました。

tomikan2側膜厚発達

3)側壁膜の細胞分化
 幼果の第1期では、隔壁膜は、丸みを帯びた柔細胞で、すべて構成されていました。6月を過ぎる第2期に入ると、側壁膜のすべての細胞が果芯に向かって伸長し、細長い棒状柔細胞に分化しました。そして、細胞自体は各々生育に連れて肥大伸長しました。第2期以降の側壁膜での細胞分裂はみられませんでした。細胞分裂は、第1期までに終了するものと思われました。この点は、先端部で成熟期でも細胞分裂のみられるベシクルとは、異なっていました。

tomikan2細胞

 これらの側壁膜の分化、発達の観察結果から、食べれる袋の開発には、第1期の細胞分裂期の栽培技術(septum control )と、第2期の細胞伸長肥大期の栽培技術(segment control)について、新たな栽培管理の研究を展開する必要性を感じました。
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