キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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袋ごと食べれるウンシュウミカンの袋側壁膜の特徴
mikanmakuみかん膜

 ウンシュウミカンは食べやすい果実の代表でしょう。果皮が簡単に手で剥けて、手も汚れません。これまで、消費者の嗜好にこたえて、甘いみかん作りに努力してき、その理論に従って、実現できるようになりました。今後は、袋ごと食べれるみかん作りが、付加価値をさらに高める次のステップだと思っています。袋ごと食べられるみかんは、袋膜の硬さが呑み込み易い性質をもっていました。袋の側壁膜の硬度の測定結果は、次のようでした。

mikanmaku-硬度

1)側壁膜の硬度
 果実硬度計で、ウンシュウミカンの袋の側壁膜の貫通硬度を測定しましたところ、早生温州1.92kg/cm2、普通温州3.49kg/cm2、晩生温州3.85kg/cm2の平均値が得られました。硬度は、果実の系統の早晩、成熟日数の順位で、高いことが分かりました。ハウスミカンは、すべてこれらより低い硬度を示し、袋ごと食べることができましたので、果実が小さいことを除けば、膜構造的には理想的ステップ(甘い+袋込み可食)にすでに到達していることになりました。

mikanmaku相関

2)硬度と果実形質との関係
 硬度と、果重や室数など多くの果実形質との間には、高い相関関係を知ることができませんでした。ただ、硬度と果実の高さとの間に、有意なマイナスの相関係数が得られましたので、扁平な果実ほど柔らかい膜になっているものと思われました。

mikanmaku松井データ
mikanmaku系統硬度

3)硬度と側壁膜の厚さとの関係
 観念的には、薄い側壁膜の硬度は低いと思われましたので、膜の厚さをミクロメータで測定しました。これまで側壁膜を測定した事例を探しましたところ、1965年の試験場の報告がありました。それによると、早生温州が160μm、中生温州が180μm、普通温州が210μmほどで、さきの硬度の序列と同じようでした。しかし、晩生温州の青島温州が無かった時代のデータでしたので、改めて、系統と側壁膜の関係をみましたところ、ほとんど関係のないことが分かりました。市販の果実では、栽培条件などが異なりますので、膜厚の相違の変異が大きく、有意な相関を得るには難しいものがありました。

mikanmaku解剖相関

4)硬度と棒状細胞幅との関係
 側壁膜の硬度と棒状細胞の幅との間には、有意なマイナスの相関関係が知られました。この点は、細胞膜の量が、太い細胞で組み立てられた組織ほど少ないと思われますので、納得できることでした。果実の大きさと棒状細胞の幅との間には、全く関係がありませんでしたので、食べれる膜の形成には、膜の棒状細胞の細胞肥大を促進することが重要だと判明しました。

 結論として、みかんの側壁膜の硬度は、側壁膜が太い細胞で構成された場合に、低いという特徴を知ることができました。一方、側壁膜の厚さとは関係を示さなかったので、膜の厚さの構造の違いをさらに検討する必要がありました。果たして、みかんの側壁膜は、構成細胞数が多いほど厚いといえるのかどうか、それとも、細胞と細胞の間(アポプラスチックスペース)にあるペクチンなどの物質の生成量の違いが、膜の厚さに関与しているのかどうか、さらに検討する必要がありました。
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