キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
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平成のカンキツ輸入の動向
boeki船

 自由貿易に異を唱えるトランプ大統領の誕生で、これまでのアメリカからの貿易自由化の流れが変わるのでしょうか。門戸を開いた日本では、豆類、麦類など多くの農産物の自給率が、すでに著しく低下し、輸入依存の農業生産体質に変質しました。カンキツは、バナナ、リンゴと同じく、貿易に適した農産物ですので、アメリカとの交渉で、1964年(昭和39)のレモンの自由化を皮切りに、1971年(昭和46)にはグレープフルーツを、1991年(平成3)にはオレンジの自由化となり、その後はすべてのカンキツが完全なフリーマーケットのもとにあります。そこで、平成になってからの、国産カンキツ対輸入カンキツのマーケットでの興亡について、その顛末をみてみました。

boeki輸入カンキツ

1)カンキツの自給率の変化
 日本のカンキツのマーケット量は、平成9年に209万トンほどありました。このときの国産カンキツの出荷量は、152万トンで、あとは輸入カンキツの57万トンで賄われました。73%の自給率でした。これが、17年後の平成26年には、国産カンキツの出荷量は106万トン、輸入カンキツは25万トンとなり、131万トン市場に縮小しました。しかし、両者の目減り具合の違いで、自給率は81%に拡大したことになりました。ここ10年くらいは、国産カンキツの出荷量が100万トン程度に安定していましたので、輸入カンキツ量の低下が、自給率の向上に影響したことになりました。カンキツ貿易の多くが、対アメリカでしたので、アメリカのカンキツ生産の不振が、このような結果となっていました。
 日本のカンキツのマーケットは、世界諸国にとって極めて魅力ある輸出先になっています。これからも、外圧にさらされたマーケットですが、消費者に愛されるカンキツの生産に努め、マーケットを守っていく必要があるでしょう。

boeki自給率

2)輸入量の低下した品種
 輸入カンキツで、著しく低下した品種はグレープフルーツとレモンでした。グレープフルーツの輸入量は、平成9年には28.4万トンでしたが、平成27年には10万トンに減少しました。これには、フロリダのグリーニング被害(参照:既ブログ記事、アメリカのカンキツ生産が危ない、17/03/21)や、南アフリカ産の品質の悪さへの消費者離れがあったと思われます。これまでに、輸入量が半減しましたレモンについては、加州の気象災害での生産不振があったものと思われます。マンダリンについては、ウンシュウミカンとの競合で、いまだ凌駕する輸入カンキツ品種が、育成されていないものと思われます。宮川早生、青島温州などの国際競争力の強さを、知らされる結果となっています。

boeki国産

3)国産カンキツの出荷量
 ウンシュウミカンの出荷量は、隔年結果の影響で年次変動がみられたものの、大体80万トンのマーケットとして安定したものでした。また、その他の国産カンキツの出荷量は、平成の初期は14-15万トンのマーケットにあったものが、平成18年からは、28-32万トンのマーケットに拡大しております。
 この理由として、清見ファミリーの品種群(不知火・デコポン、清見、はるみ、紅まどんな、せとか、麗江など)への消費需要の増大が挙げられるでしょう。海外とは全く異なったカンキツ品種構成のマーケットができつつあり、来日した観光客を驚かせています。

boeki清見ファミリ

 農産物の中で、近年自給率を延ばしているアイテムは少ないものですが、カンキツに限ってはこのような状況になっていて、心強いものがあります。さらに、輸出できるほどの荷がまとまるようになるといいのですが、今後に期待しましょう。そのためにも、外圧に負けない体質を持つ産地つくりを目指して、カンキツの生産基盤の強化(とくにグリーニングには注意)に努めましょう。
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