キトロロギストXの記録
激しく変化する昨今のもとで一生をカンキツ研究に捧げてきた老学者の独白を広く一般のカンキツ愛好家(キトロロマニア)に聞いていただきたくブログを開設しました。お閑な時にどうぞ目を通してください。
201710<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201712
橘のあった邪馬台国の生態は

wajinden-タチバナ

 魏志倭人伝は、古代日本を伝えた貴重な一史料です。西暦280-297年ごろに、中国西晋の人、陳寿が、中国歴史書『三国志』に書きとめたものです。僅かに2000余文字ですが、文字の無かった日本としては、当時の日本の地理、地勢、政情、生活様式などを、興味深くうかがい知ることができます。当時、倭には、卑弥呼という女王の率いる邪馬台国があり、この国を魏の使節団(帯方郡の役人か)が訪ねた時の、見聞録風の記述となっています。
 日本では、ご存知のように、どこに邪馬台国があったかは今でも特定できていません。橘があったと記述している倭人伝の伝えた環境、生態について、考察してみました。

wajinden倭人でん文

倭地温暖冬夏食生采皆徒跣
其木有柚杼豫樟楺櫪投橿烏號楓香
其竹篠簳桃支
有橿橘椒蘘荷不知以為滋味
無牛馬虎豹羊 
――――― 邪馬台国には牛や馬が居ない


 倭人伝は、邪馬台国の人々が、年中暖かく、薄着ではだしで歩いている、手で食事している、刺青して海に潜っている、など南方系の人々の生活を思わせる記述をしています。また、ミョウガやショウガ、橘やサンショウを食べることを、知らないと述べています。これらは、宮殿の周りに良く目に付く植物だったのでしょう。これより500年も後の時代の万葉集20巻(西暦782年完)には、タチバナが花の詩題としてたくさん登場しますが、食べることは記していませでしたので、邪馬台国でも、橘を食用と考えていなかったようです。

 wajinden竹林

 また、竹については、背の低いシノタケ、やや高いヤタケ、木にまとわりつくカズラダケをあげていますが、現在日本に多い、モウソウチクやマダケについては記述していません。モウソウチクとマダケは、中国江南地方に自生していますので、この地方から日本に導入された種類とみなされるでしょう。邪馬台国にはまだ導入されていなかったものと思われます。

wajinden樹種

  また、樹木については、クスノキ(柚)、タブノキ(豫樟)、カシ(橿)、クヌギ(櫪)の常緑樹、コナラ(杼)、カエデ(楓香)、ヤマグワ(烏號)の落葉樹など、9種類を記述しています。投(スギ?でしょうか)と楺(ボケ?でしょうか)については種類を特定できません。ツバキやヤマモモについては、文字がありません。

wajinden幸島サル

  また、動物や鳥については、大ザルやキジがいるけれども、猛獣のトラやヒョウ、役畜のウマ、ウシ、ヒツジは居ないと記述しています。クマについては記述がありません。不思議なことに、カササギ(鵲)が居ないとしています。カササギは、韓国から佐賀など北九州に齎された留鳥で、南九州にはいませんでした。渡り鳥のヒバリやツルについては、時期が合わなかったからでしょうか、記していません。
 
wajinden-気候区分

 上の風景は、明らかに、照葉樹林帯の植生を伝えています。実は、2000年前の日本列島には、鬱蒼とした照葉樹林が、九州から中部地方の山々まで広がっていたといわれています。したがって、魏志倭人伝は、旅人として、よくたくさんな種類をあげていたといえますが、日本の照葉樹林帯のどの地域にもあてはまりそうな、生態の記述になっていたのです。奈良でも、九州でも同じような記載になったことでしょう。ただ、カササギが居ないと記述していることについては、南方を推定できますので一考を必要とします。

wajinden原始林

wajinden照葉樹林渓谷

  日本では、照葉樹林の原生森は、いまではみることができないくらい土地開発されました。1924年に天然記念物に指定された奈良の「春日山原始林」や、伊勢神宮の神域林が、わずかに、原始の姿をとどめています。面積的には、宮崎県東諸県郡の綾の照葉樹林でしょう。世界中が認めている大切な世界遺産となっています。倭人伝の伝えるところからは、邪馬台国が南方の照葉樹林帯のどこかにあったことになります。特定できると素敵ですね。

関連記事:照葉樹林帯とカンキツの栽培 13/09/17
スポンサーサイト
ランキングに参加しています。良かったら押してください。

FC2Blog Ranking

にほんブログ村 グルメブログ フルーツへ
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する

管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2004-2005 Powered By FC2ブログ allrights reserved.